独 り 言

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2018.11.26 <社説>香山氏講演中止 表現の自由侵害許せない

【東京新聞 2018年11月24日 夕刊】
京都府南丹市は市内で予定していた精神科医・香山リカさんの講演会を中止した。妨害をほのめかす予告 電話などがあったためだ。憲法で保障された集会、結社、言論、出版その他一切の表現の自由に対する重 大な挑戦だ。見過ごすことはできない。
香山さんは市などが主催する子育てイベントで「子どもの心を豊かにはぐくむために―精神科医からのア ドバイス」と題して講演する予定だった。
ところが市役所に「日の丸の服を着て行っていいのか」などとする匿名の電話が5件寄せられた。さらに 役所を訪れた男性が「大音量を発する車が来たり、会場でけが人が出たりしたら大変やろ」と職員に告げ ている。明らかな脅迫ではないか。
こうした匿名の電話などを受け、市は「母親や子どもたちが安全に過ごせることを考慮した」という理由 で、講演を中止した。これでは行政が理不尽な圧力に屈服したといわれても仕方ない。
脅迫罪は相手を恐れおののかせることにより成立する犯罪だ。未遂罪は存在しない。香山さんの講演を実 施すれば、大音量を発する車が来たり、けが人が出るぞと告げる行為は脅迫罪に該当しないだろうか。
行政は講演を中止するのではなく、こうした脅迫めいた圧力に厳然と対処すべきだった。
警察に同法 適用の可否の判断を求め、講演が予定通り実施できるよう、安全確保を要請すべきだった。
香山さんの講演中止は、これが初めてではない。2017年6月、東京都の江東区社会福祉協議会が共催 する講演会で、香山さんが登壇する予定だった。貧困と孤独に悩む子どもを支援する場となっている「こ ども食堂」の必要性や普及を訴えるはずだった。
ところが「講演会に乱入する恐れがあります」「つぶすぞ」などの脅迫メールや電話が約20件届き、協議 会は警視庁深川署に相談した。来場する子どもと参加者の「安全確保」を理由に中止している。
なぜ香山さんの講演が妨害されるのか。香山さんは右派系グループの関係者に対し、問題点を指摘してい る。それ以来、香山さんに対するインターネット上での批判が出始め、講演会への嫌がらせを促す書き込 みが相次いでいる。
香山さんは琉球新報が毎週日曜日に掲載している女性識者のコラム「日曜の風」の執筆者だ。沖縄の基地 問題について「本土の人間として自分にできることは何か。“ひとごと”としてではなく、“わたしごと ”として沖縄に向き合うとはどういうことか。私もまた自分に問いかけている」と書いた。沖縄の基地集 中の根源を据え、向き合おうとしている。
香山さんへの攻撃は、沖縄に対するヘイトスピーチ(憎悪表現)と通底する。放置してはならない。毅然 (きぜん)とした態度で向き合う必要がある。

公演中止について、なぜこんなことが、当たり前のように行われるのか?ヘイトスピーチは脅迫である。 中身が悪質なものならばいざしらず、右派系グループが圧力をかけてくるのはいかがなものか?沖縄のデ モに対しても警察は一体何をしたのか考えてほしい。警察権力では何もしてくれない。本来ならば市民を 守るために警察が毅然とした態度で、妨害者を排除する姿勢が欲しいものだ。日の丸の服を着た人間が妨 害するのは右翼と言っても恥ずかしい人々である。右翼であれ、左翼であれ人間の尊厳を守っていくべき である。それを守りきれないならば、日本の税金は何のために警察に税金を使っているのか?もちろん普 通に警察業務をしている警察官も多くいることは確かであるが、右翼団体に対してあまりにも腰砕けの感 がして仕方がない。言論の自由をもっともっと守っていくという姿勢が行政や特に現在の与党にかけてい る気がしてならない。