保育所なのに幼児トイレなし…企業主導型で相次ぐ問題一体なぜ?
【小林美希2018.12.11 07:00AERA】
待機児童の解消の一役を担うとして、政府が導入を進める企業主導型保育所。だが、保育士の配置基準
が緩いなど問題は多い。困るのは利用者だ。
東京都世田谷区で11月、企業主導型保育所「こどもの杜(もり)上北沢駅前保育園」が突然休園し、波
紋を広げている。休園の理由は保育士の一斉退職とされている。同区内にあった姉妹園の「こどもの杜
下高井戸駅前保育園」も11月26日に他の事業者に譲渡された。
「お母さんが途方に暮れて泣いていました」
と、関係者は打ち明ける。
この母親は、今年4月に3歳の娘を認可保育所に入れたが1歳の息子は入れず、たまたま空きがあった「
こどもの杜下高井戸駅前保育園」に預けていた。入園からわずか7カ月、やっと園生活にも慣れてきた矢
先の出来事に戸惑っているという。息子は一時的に娘と同じ認可保育所に受け入れてもらえたが、今後
の見通しは立っていない。
企業主導型保育所とは、2016年度に始まった内閣府による保育事業で、待機児童解決を狙う政府の目玉
政策。運営費は企業から集める「事業主拠出金」で賄われる。主に自社や提携する企業間の社員の子ど
もを受け入れるが地域枠も設けられ、保護者は施設と直接契約する。
福利厚生の意味合いが強く、会社の働き方に応じた運営を求められているため、早朝・夜間・休日保育
を柔軟に行うことが多く、認可外保育の扱いでも認可並みの運営費が助成される。16〜17年度で合計約
6万人分2597施設が整備された。
参入障壁を低くするために、企業主導型は助成が決定されると最初に約1億円の施設整備費が支給される
。さらに、保育士確保が困難な場合には、保育士の配置基準を満たさなくても開設できるという問題も
ある。配置基準の保育士比率100%、75%、50%という段階を設けて運営費が助成され、事実上の配置基
準緩和が進む。
すると「儲けたい」と考える企業の参入が相次いだ。初年度は電子申請さえすれば現地確認されることも
なく採択されるような状況で、監査を行うと7割もの施設で問題が見つかった。幼児用のトイレを整備し
ていない、保育計画が作成されていないなど、初歩的な不備が散見された。秋田県、沖縄県では助成金の
不正受給まで発覚した。
教育費無償化が叫ばれているこの頃、幼児教育でさえ、上記のような現状である。待機児童の問題もさる
ことながら、質の問題が何も論議されない。このような、現状が目につくのである。更に、小学・中学・
高等学校と学年が上がるに従って、教育費は高くなる。そこを教育大国にするための論議が何もされてい
ない今日このごろである。無償化・無償化と言われているが、大学に進学するには奨学金を使う方法があ
るが、言い換えれば、借金をするようなものを、しかも貸与ならば、利息が必ず、生じてくる。利息0で
も返却は大変だ。いわば消費者ローンを促しているようなものだ。庶民は殆どの場合、お金がないそんな
状態で教育の無償化なんてできるのか。嫌になってしまう。お金のある人はいいが、ない人には酷な社会
である。何でもかんでも、民営化というのは何でも反対である。安上がりのハリボテでしっかりしている
つもりであれば、情けないのう。これも自民党が作り上げてきた政策なのだろうか。
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